艶聞も男にとっては名誉のうち

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名誉なんて毀損されても、それが自分の収入、お金に関係のないことだったら僕は平気です。なぐられるのは痛いからイヤです。ここでいうのはそういうロゴス的な意味ではなくて、心に傷がつくかつかないかということです。これは自分の観念の問題にしか過ぎません。

「先生はひどい人で、ある女性を押し倒したんですよ」なんていうことを、僕はいわれたことがある。僕は名誉だと思いましたね。今じゃあまり精力がなくなってきていますからね、それほど体力があるというようにみられるのはありがたいことです。(笑)これは次のような話です。

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僕は昔フェンシング・スクールにいまして、みんなで千葉の館山に合宿に行ったんです。夜になって浜辺へ行きましたら、月光に照らされながら海辺でチャポチャポやっているうちに、ロマンチックな気分になってきたんです。いつの間にか、同じ部の女子学生が横に居りましたので、僕は手をのばしてキスをしたんですが、彼女は全く抵抗しませんでした。それで明るい所へ行って話をしているうちに、そんなことは忘れてしまったんです。

しかし、しばらくしてその学校の校長先生に呼び出され、君は誰かとできてしまって婚約もしたそうだねといわれました。相手は誰かということになって、僕はフェンシング・スクールで日頃かわいがっていた子がいたので、その子のことかと思っていたら違うんですね。それはまた違う子だった。(笑)

だんだん記憶を呼び戻していったら、合宿の時、キスした子だと思い出したんです。皆さんご存知かもしれませんが、フェンシングでは試合をする前に、剣を唇のところへもってきて、つばのところで投げキッスをするんです。また、試合用語は皆フランス語です。それくらいなもんだから、僕は、キスぐらいなんでもないという学校だと思っていたら、とんでもない。その時僕はこの学校から放校されてしまったんです。しかし、僕はこれは名誉なことだと思いました。艶聞なんていうものは名誉ですね。男にとっては何でもない。むしろ勲章です。(笑)

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